「希少性」の例10選 -『影響力の武器』を解説
YESを引き出すための5つテクニックが紹介されている『影響力の武器』という本をご存知でしょうか。
商品販売にもつながるテクニックとして、広告業界ではよく知られた一冊です。
5つのテクニックを1つずつ丁寧に噛み砕いてご説明していきます。感覚的にも理解できるよう、身近にある「希少性のルール」も10個リストアップしてみました。
希少性のルールとは?3つのポイント
ポイント1:手に入れにくいものは良いもの?
「機会を失いかけると、その機会がより価値あるものに思えてくる」という心理のことを、希少性のルールといいます。
実際に、人気があり品薄になったものは品質が高いものが多く、「手に入れにくさ」は品質を判定する便利な手がかりとなることがあります。
しかし希少性のない商品であっても、「数量限定」「期間限定」などと宣伝することで、希少であると信じ込ませ、購入を促すことができます。
また、このルールが顕著に働くのは次のような場合です。
- ある品が新たに希少なものになったとき
- 他人と競い合っているとき
ポイント2:手に入りにくい=不自由
希少性のルールを説明する上で鍵となる概念が「心理的リアクタンス理論」です。
「心理的リアクタンス理論」によると、人は自由を欲し、自由の喪失に抵抗する性質を持っています。著書の例でいうと、ロミオとジュリエットの物語のように、周囲から交際を反対されるほど、相手を強く求めるようになります。
ある品やサービスが入手できない状態は、自由を失っている状態といえるため、「購入」という形でそれに対抗しようとします。
ポイント3:情報にも当てはまる
希少性のルールは物やサービスだけでなく、情報にも当てはまります。
検閲などである情報へのアクセスを制限されると、人はその情報を求めるようになり、しかもその情報を高く評価するようになるのです。
たとえば、政治権力によって弾圧された主張は、人々から賛同されやすくなります。時として少数派は、自分たちが弾圧されているとアピールし、人を惹きつけることがあります。
政治主張だけでなく、成人向けコンテンツに「18禁」のような表示をする場合も、人々は逆にその情報を求めるようになります。
身近な「希少性のルール」の例10選
『影響力の武器』は海外の文献のため、事例にあまりピンと来ないこともあります。
そこで、現代日本で見られる希少性のルールを挙げていきます。
1:アパレル店員「最後の1着です」
希少性のルールの典型例です。
失われつつあるチャンスが目の前にあるとき、人は飛びつかずにはいられません。
2:Amazonサイバーマンデー
Amazonサイバーマンデーとは、毎年12月に4日間限定で行われるビッグセールのことです。終了日時を「12/9[月] 23:59」と分刻みで表記しているのも、限定性を強く印象付けています。
期間を限定することで、希少性を高めている典型例といえるでしょう。
3:Supreme(シュプリーム)
アパレルの分野は希少性のルールが特に多用されています。
Supremeなどの各ブランドは、人気ブランドというイメージを確率するために、商品の供給量をあえて抑え、「即完売」の状態を作ります。すると消費者は、即完売となり手に入れにくいものほど価値が高いと判断し、求めるようになります。
逆に、GAPのようにいつもセールを行っていると、ブランドイメージは上がりにくくなります。
4:日本に○台しかない
「日本に5台しか入ってきていない車種」等のセリフは、車好きが自分の愛車を紹介するときの常套句です。
アパレルと同じく、車も希少なものほど高値が付きます。
5:ご当地キティ
地域の限定性も、希少性を生み出します。
ご当地キティなど、その土地でしか手に入らないお土産は、高くても購入したくなります。
6:YouTubeの「閲覧注意」「BAN覚悟」
人はアクセスが制限された情報に希少性を感じ、強く求めます。
YouTubeの動画タイトルに「閲覧注意」が入っていると、見るのを止められているような感覚になり、逆に見たい気持ちが高まります。
「BAN覚悟」などの文言も、「いつ消されるかわからないから、今すぐ見ないと」という心理を引き起こします。
7:マスク買い占め
コロナウイルスの流行によりマスクの品薄が報道されると、人は失われゆくチャンスを静観できず、ドラッグストアに買いに走るのです。
8:遊戯王のレアカード
遊戯王やマジックザギャザリングのようなトレーディングカードは、流通量の少ないレアカードは何百万円という値段を付けることがあります。
実態としては「ただの紙」なのですが、希少さが大きな価値を生み出します。
9:皇居の一般公開
皇居は紅葉が見頃を迎えると、普段は一般公開していないエリアを期間限定で公開します。
この一般公開が大人気なのは、希少性のルールも関係しているはずです。
10:電話をすぐ切ると折り返しがくる
私の個人的な感覚ですみません。
電話の呼び出し音を1分くらい鳴らし続けるより、5秒くらいだけ鳴らしてすぐ切ると、折り返しの電話がかかってくる確率が高まります。
呼び出し音が短く出るチャンスが少ない方が、人はその電話が良い知らせだと判断する可能性が高いのでは、と推測しています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
コピーライティングの経験がある方なら、「期間限定」や「数量限定」は定番のフレーズとしてご存知だと思います。
しかし、フレーズがなぜ効果的なのか、その理由まで理解することによって、表面的ではなく本当の意味で「希少性のルール」を使いこなせるのだと思います。
『影響力の武器』の紹介は以上となります。ぜひ、6つの心理法則を活用して、より消費者の心理に刺さる広告を作っていきましょう。